無線LANルーターBUFFALO WXR-1750DHPの感想

1か月ほど前に、BUFFALOの無線LANルーターWXR-1750DHPを買った。アキヨドで13,800円。10%ポイント還元。

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これまでに使ってきたルーターは、10年以上前に買った有線のBBR-4MGと、その後買い換えた無線のWZR-HP-G301NH。 全部BUFFALO製。細々と不満はあるけど、ちゃんと動くし、同じメーカーのほうが慣れていて使いやすそう。

設定

誰かが、「ルーターの設定難しい。PCに詳しくない人はどうしているのだろう」とぼやいていた。 たしかに、繋いでブラウザを開いて、ルーターIPアドレスを開いて、PPPoEの設定を探して~は大変そう。 このルーターは、有線で繋いでブラウザを開くと、インターネットに繋がらない場合は(たぶんDNSを乗っ取って)ルーターの設定画面が開くようになっている。 「ISPから渡された紙に書いてあるパスワードなどを入力してください」という画面になる。 最近のルーターはこんななのか。すごい。

WZR-HP-G301NHもそうだったけど、1箇所設定を変える度に、設定を反映させるために数十秒待たされるのが面倒。 BBR-4MGは設定を変更して最後にまとめて再起動をする方式で、そちらのほうが良いのだけど、分かりづらいのか……。

ヘアピンNAT

NATループバックとも言う。 ルーターの内部にサーバーを立てたとき、ルーターの内部からもルーターの外部からと同じようにグローバルIPアドレスでアクセスできる。 ローカルIPアドレスに変えるなり、hostsに書くなりすれば良いのだけど、この機能があるとちょっと便利。 最初に使ったBBR-4MGにはこの機能があったので、普通はそういうものだと思っていた。 国内製のルーターだとこの機能はあまり付いていないらしい。 WZR-HP-G301NHにも無かった。 この機能が無いと、内部からグローバルIPアドレスを叩くと単にルーターにアクセスすることになる。

紹介ページには記載が無いけれど、WXR-1750DHPはヘアピンNATに対応している。 ファームウェアアップデート内容に記載がある。

●Ver.2.13 → Ver.2.21 [2014.7.2]
【新機能】
・NAT-Loopback機能に対応しました。
 [詳細設定]-[セキュリティー]-[ポート変換]に登録されたルール等に対し、LAN側からの通信でも外部からの通信でも、
 同じWAN側IPアドレスで通信することができるようになります。
 この機能はルーターモードでご利用時のみご利用いただけます。

ざっと見た感じ、外付けアンテナが付いている上位機種だと対応しているらしい。 気にしている人は気にしているのだから、もっとアピールすれば良いのに。 このために狭い自宅なのに、戸建て3階建て、マンション4LDK用の上位機種を買った。 特に問題無く使えた。 繋がらないなぁと悩んでいたけど、設定をミスってローカルIPアドレスが違っていただけだった。

IPv6

最近のルーターだしちゃんとIPv6に対応している。 これもISPで手続きをしてIPv6を有効にしたら、普通に使えた。 初めてIPv6を使ったけど、特に意識することはなくて、GoogleなどIPv6に対応しているサイトにはIPv6でアクセスするし、その他のIPv4のサイトもそのまま使える。 IPv6が使えても、踊っている亀が見られること以外にメリットは無さそうだけど。

ISPによってはIPv6を有効にすると、グローバルIPアドレスが割り当てられなくなる?

※ご注意ください!※
「v6プラス」では一部利用できないサービスがあります。
すでに利用中もしくは今後、サービスのご利用を予定している方は「v6プラス」はご利用いただけません。
BIGLOBEフォン
固定IPサービス
一部通信型ゲームなど、特定ポートを使用するサービス、または、複数のユーザでIPアドレスを共有すると利用できないサービス。
利用可能なポート番号、ポート数に制限があります。 外部へサーバ公開をお考えの方はご利用できません。
OP25Bブロックを実施しています。メール送信には587(サブミッションポート)を利用する必要があります。

https://support.biglobe.ne.jp/ipv6/

同じBIGLOBEだけど、私のプランでは、内部に立てているサーバーから外にアクセスするのも問題無かった。

ゲストポート

来客向けに、インターネットを提供する機能があった。 やたらと力が入っている。 自分で使うアクセスポイントとは別にアクセスポイントを立てられる。 無料Wi-Fiで良くあるパスワード無しで無線に接続して、ブラウザを開いたら認証画面が表示されるのでそこにパスワードを入れて~という設定ができる。 ネットワークは別になるので、自分で使っているネットワークには接続できない。 便利な人には便利そう。

設定画面へのログイン

設定画面へのログインパスワードをブラウザが記憶してくれない。 フォームに入力されたパスワードをそのままルーターに送信するのではなく、JavaScriptRSA暗号化してから送信していた。 HTTPSが使えない状況で、パスワードを平文で送信しないための苦肉の策だとは思うが、初期パスワードが password 変更するようにとも言われないし、そもそもゲストポート機能があるから信頼できない機器をネットワークに繋ぐことも無いのに、ここまでするか……。 とりあえず、開発者コンソールで handleSubmitOnClick=function(){} を実行したらChromeは記憶してくれた。

Pixivの「注目のタグ」の作品を見る方法

http://www.pixiv.net

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Pixivのトップページには「注目のタグ」という欄があって、こんな感じに綺麗な絵のサムネイルが並んでいる。気になる絵があって、作品のページに飛ぶことを期待してサムネイルをクリックすると、作品のページではなくタグのページに飛ばされる。表示されているのはサムネイルだけで、作品名も作者名も無いので、作品のページには辿り着けない。

プレミアム会員の場合

飛んだ先で、「人気順(すべての期間)」でソートすれば良い。上位に出てくる。人気順でソートする機能はプレミアム会員限定。タグは現在注目されているタグだけど、サムネイルはそんなことはないらしく、昔の作品も出てくるので、「すべての期間」を選ぶ必要がある。

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プレミアム会員ではない場合

サムネイルのURLから作品のIDが分かる。以下の説明はGoogle Chrome。サムネイルを右クリックして、「検証」をクリックすると、HTMLが表示される。選択されている行の後ろのほうの数字が作品のID。この作品の場合は50970709。

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あとは、

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=作品のID

に移動すれば良い。

Chrome拡張

タグのリンク先はそのままでサムネイルのリンク先を作品に差し替えるChrome拡張を作った。自分でも使ってみてなかなか便利だった。

Pixivの注目のタグのサムネイルのリンク先をサムネイルの作品にするChrome拡張 - Chrome ウェブストア

理由の推測

サムネイルをクリックしてもその作品のページに飛ばなくて、「なんだこの動作は?」と思ったが、この欄はあくまでタグを紹介する欄と考えると自然な動作なのかもしれない。文字だけでタグが並んでいると寂しいから、サムネイルを添えていると。

最初は人気順はプレミアム限定の機能だから、人気上位の作品に飛ばれると困るということなのかと考えたけど、それならば作品IDをURLに含むサムネイルは使わないでしょう。

マイナンバーカードのQRコードの(人力での)読み方

マイナンバーカードのQRコードを人力で読める人が多いとヤバいらしいので、人力で読むのがどの程度の難易度なのか試してみる。

このサイトにQRコードの作り方が載っているので、逆をやれば良い。

QRコードをつくってみる その1

「人力は面倒だけど、スマホのリーダーだと答えしか教えてくれないので、途中経過を知りたい」という場合には、このスクリプトが役に立つ。

waidotto/strong-qr-decoder: 強力なQRコードデコーダ

経緯

マイナンバーカードを身分証明書として使いたいけど、他人に見せるときにマイナンバーが見えてしまうと困るので、マイナンバーだけを隠すケースを国が配布した。ところが、マイナンバーカードにはマイナンバーがQRコードでも印字されていて、ケースはこのQRコードを隠さない。

国配布のケース、マイナンバーQRコード丸見え : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

総務省曰く、

QR コードは、仮に目視しても記録されている情報がわかるものではなく、記録されているマイナンバーを不正に読み取るためには機器の使用が必要であり、このような行為は、カードケースを外そうとする行為と同程度に不自然であることが周囲から一目瞭然である

http://www.soumu.go.jp/main_content/000425732.pdf

「目で読める人がいっぱいいたらどうするの?」

QRコードの読み方

上記のサイトを見ると、QRコードを読むのはそうとう面倒に思えてくるが、作ることに比べるとかなり楽。複雑な数式が出てくる誤り訂正符号も考える必要が無い。誤り訂正符号は、元の符号の後ろに誤り訂正用の符号を追加するものなので、誤り無く読み取れるのならば、単に先頭を読むだけで良い。また、QRコードには英数字だけとか数字だけとかいくつかのモードがあるが、(おそらく)英数字モードしか使われていない。サイズが大きいと、データをいくつかに分けて混ぜ合わせるようなインタリーブ処理が必要になるけれど、小さいので不要。

私はマイナンバーカードを申請していないが、柏市のサイトに大きなマイナンバーカード裏面の画像があったので、これを読んでみる。

ペイントでドットを打って転写したのが↓のQRコード

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この内、実際に読む必要があるのは、赤枠で囲った部分。左側の3画素と、右側の77画素。

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例えば、0を多く含むようなデータを素直にQRコードにすると、全体が白くなってしまう。それでは読み取りに困るらしく、データを並べた後にルールに従って画素を反転するという処理がある。これに使われるマスクは8種類あって、どれを使ったかが左の3画素に書かれている。左から読んで、101とxorをする。このQRコードでは、000なのでxorをして101。5番目のマスクを使う。マスクの一覧は下の通り。青い画素はそのままで赤い画素を反転させる。マスク情報のところにはxorを取る前の画素を書いている。

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5番のマスクでxorを掛けたQRコードは次のようになる。

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この画像から01を読んでいく。読んでいく順番が分かりづらいが、右下から順に右左右左と2列で上に向かって読んでいく。上に達したら左にずれて同じく2列ずつ下に読んでいく。

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マイナンバーのQRコードでは、数字を振った7個のコード語を読む。1個11bit。ちなみに、右下の4bitはモードを表わしていて、マイナンバーの場合は英数字なので常に0010になるはず。次の9bitはデータ長でマイナンバーの場合は14桁なので常に000001110。「マイナンバーは数字12桁では?」と疑問だったが、4桁ごとに空白が入って英数字14桁だった。

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コード語は、

  • 00000101111
  • 00010001011
  • 11001011001
  • 00100010101
  • 00110001100
  • 00110010101
  • 00000101111

これを45で割って、商と余りに分ける。例えば最初の00000101111は47なので、商が1で余りが2。同様に他のコード語も計算していくと、

  • 1, 2
  • 3, 4
  • 36, 5
  • 6, 7
  • 8, 36
  • 9, 0
  • 1, 2

あとはこの数列を英数字に直すだけ。マイナンバーの場合は数字と空白のみなので簡単で、数字はそのまま、36を空白に直す。

1234 5678 9012

結論

これを暗算は無理でしょ……。スマホで盗撮するほうが楽。

マイナンバーは個人を識別するための番号で、今までだったらその役割は氏名と生年月日のペアなどだったと考えると、そこまで厳重に守る必要はあるのだろうか……。

追記

別にデコードまでする必要は無くて、単に白黒を覚えるだけで良いのかもしれない。

右下のあたりを塗りつぶせば……。捕まっても知りません。

論理学で矛盾からは任意の命題が導出できることの証明

1≠2かつ1=2ならば、P≠NPが証明できる」みたいな話*1

「矛盾(A∧¬A)からは何でも導ける(A∧¬A⇒B)」「あれ、A∧¬A⇔Fだから、F⇒Bとなって、F⇒B全体は真だけど、Bが真とは限らないのでは?」みたいな話になって混乱したのでメモ。

まとめ

Aより、A∨Bは真。¬AA∨Bより、B

詳細

: かつ、: または、: 否定、: ならば、: 同値、T: 真、F: 偽。

  1. A∧¬Aが真ならば、の定義から、A¬Aも真となる
  2. Aが真なので、A∨Bは真となる
  3. ¬Aが真であり、↑で示した通りA∨Bも真となる。A∨Bが真で(¬Aより)Aが偽なので、Bが真となるしかない

Aは真なの?偽なの?と思ってしまうが、それが矛盾なので仕方がない。仮定と既に示したことは以降の証明で使えるので、A¬Aも好きなときに使える。

F⇒Bが真というのは、の定義。これは正しい。一方で、A∧¬Aが真となるような体系は普通は考えない。何でも示せてしまってつまらないから? 何とかして扱ってみようという面白そうな話もあるらしい。

矛盾許容論理 - Wikipedia

*1:1=2から、P=NPらしい。1=2 - アンサイクロペディア

iPhone 6sを買った

今さらだけど、iPhone 6sを買ったので、つらつらと感想を。

3D Touch

MacBookの感圧タッチトラックパッドや、らくらくホンくらいの押し心地を期待していたけど、あんまり押した感じはしない。ちょっと残念。

デレステ

3D標準が余裕で動いて良い。しかし、画像の解像度が5sが基準になっているらしく、6sではぼやけてしまってとても残念。6s向けの解像度を用意してくれ🙏 親指派だけどこの画面のサイズでも問題は無い。

iPhone 5s

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iPhone 6s

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ドック

スマホにいちいちケーブルを挿すのが面倒なので、いつもたとえ別売でも公式のドックを買うようにしていた。このドックがなんと5000円もする。さすがに高すぎでは……。店員に持ってきてもらって値段を聞いて「やっぱりいいです……」と言ってしまったが、後から買ってきた。単なるライトニングケーブルの延長ではなく、中に基盤が入っていてドックにスピーカーを繋げるけど、その機能は要らないので安くしてほしい。ケーブルを挿すのもこのドックも面倒で美しくないと思う。アップルなんだから磁石とかを使ってスマートに充電できるようにしてほしい。

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slack

CPUの性能が向上しているからか、とても快適にサクサク閲覧できる。PCより快適。

ストラップ

スマホにカバーは付けたくないけど、ストラップは付けたい。5sではNETSUKEを使っていた。しっかりした作りで安心感があった。これの6s版を買おうと思ったけど、売り切れ。別会社で再販する予定はあるらしいけど、いつになるやら……。

結論

iPhone SEのほうが良かったかもしれんね(´・ω・`) デザインも6sの丸い感じよりは、5sの硬い感じのほうが好き。

虫を食べてきた

そんなにヤバイ写真ではないと思うけど、苦手な人は注意。

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誘われた。
ゴキブリ食べた - 銀の人のメモ帳
に触発されたけど、この店は遠いので、
米とサーカス - 高田馬場/居酒屋 [食べログ]
に行くことにしたらしい。件のブログほどのインパクトは無い。

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アリ酒。独特の風味があるけど、これがアリのものなのかどうか分からない。アリはプツプツとした食感。

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イナゴの佃煮。実家で食べたことがある。

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蜂の子の佃煮。佃煮の味しかしない……。

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サソリ。エビフライの尻尾みたいな味を想像していた。手や足はたしかにそんな感じだけど、身の部分はレバーのような感じ。匂いが強いので、一緒に行った人皆これが一番マズいと言っていた。隣はバンブーワーム。スナック菓子みたいなサクサクとした食感。言われなければ虫だと気が付かなさそう。

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右から、ゲンゴロウ。私は食べていない。普通に食べられるとのこと。イナゴ。カイコ。カイコはオガクズのような風味で美味しくなかった。

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シカのキンタマの刺身。馬のタテガミのような油っぽい味。

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サソリのネギま。単品で頼むとネギが付くらしい。

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アリのチャーハン。アリが口の中でチクチクする以外は普通のチャーハンで、アリの味は分からない。

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冬虫夏草酒。虫の部分は蝉。ここからお猪口に注いで提供される。冬虫夏草の味がするのかどうか良く分からない。

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うるか2種盛り。鮎の内臓と卵巣の塩辛らしい。これはゲテモノ枠ではない気がする。美味しんぼで見て食べたいなと思っていたけど、そんなに感動するほどではない。塩っぽいので酒が進む。

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何だったか忘れたけど、何かのハツの天ぷら。普通に美味しい。

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アリの卵の卵焼き。大部分は鶏の卵で、白い粒がアリの卵。こんなに卵が大きいってどんなアリなのだろう? プツプツとした食感はあるけど、味はしない。

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馬の大動脈。モツのように固い。普通に美味しい。

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ラクダのトンペイ焼き。固いだけで、あまり味はしない。

基本的にわざわざ食べるほど美味しくない。考えてみれば、虫が美味しいなら、今頃は肉だけではなく虫を食べる文化が根付いていたはず。イナゴは美味しいから食べる文化が残っているのか。帰りに寄った野方ホープラーメンを皆で「美味しい美味しい」言いながら食べた。

PHPのmt_rand()にプルリクを送った

この話。

PHP の mt_rand() は一貫して壊れている(consistently broken)らしい - 唯物是真 @Scaled_Wurm

PHPmt_rand()が実装にミスがあることを知ったので、「PHPのコミットログに名前を載せるぞ╭( ・ㅂ・)و」と思ってプルリクを送ったら、一旦マージされたけど、リバートされた。

詳細

https://github.com/php/php-src/pull/1681/files

ついでにテストコードも付けたけど、直すべきは1文字だけ。 twistというマクロの定義が1文字間違えている。 loBit(u)ではなくloBit(v)が正しい。

#define twist(m,u,v)  (m ^ (mixBits(u,v)>>1) ^ ((uint32_t)(-(int32_t)(loBit(u))) & 0x9908b0dfU))

このマクロはオリジナルのソースコード

y = (mt[kk]&UPPER_MASK)|(mt[kk+1]&LOWER_MASK);
mt[kk] = mt[kk+M] ^ (y >> 1) ^ mag01[y & 0x1UL];

という処理に対応している。最適化されていて分かりづらいけど、loBit(x)01を返すので、符号を反転させると、0x000000000xffffffffになり、andを取ることで0x000000000x9908b0dfになる。オリジナルのソースコードmag01{0x0UL, 0x9908b0df}なので、表を引かずに同じ動作をするようになっている。オリジナルと同じ結果を得るためには、uではなくvの下位1bitを使わなければいけない。

PHPにmt_randが実装された当初から間違っていたわけではなく、10年前にコードを最適化したときエンバグしたらしい。 この前はオリジナルのメルセンヌ・ツイスタと同じ値を返していたはず。

普通に乱数を使う分には全く問題の無いレベルだと思うけど、この違いで乱数の周期性などがどの程度悪化しているのか、あるいは全く影響は無いのか、気になる。

経緯

2015年10月。とあるセキュリティ系のコンテストでmt_randを推測する問題を解いていて、なぜかC++での実装と上手く結果が合わなかった。乱数を推測するツールがあると教えてもらってそのツールを見ていたら、ソースコードの中にmt_twistという関数とphp_twistという関数があって、PHPは実装が異なっていることを知った。なので、このバグは私が見つけたわけではない。知っている人は知っている話だったらしい。1文字だけだし、直そうかとも思ったけど、面倒そうなので止めた。

https://github.com/GeorgeArgyros/Snowflake/blob/22d2a261f159e1a7b4233f0f4aac4020a90e079f/mt_rand/mt_rand.c#L39

2015年12月。このインタビューを読んで「PHPすごいなー」と思い、コミットログに名前を残したくなったので、バグ報告をして、プルリクを送った。この時点で、「たしかにバグだけど、直したら互換性が崩れるのでは? どうしよう」というようなコメントがついていた。

2016年2月。このコミットと衝突していたので、解消して、ついでに、「そもそも10年前の修正で互換性が崩れていたけど、今まで誰も文句を言っていないし、もう一度崩れても別に良いのでは」とコメントを付けた。 mt_rand()の返す値が変わったら困るような状況があるのなら、10年前の変更の時点で気が付かれて、すぐに直されたのではないかと。 今にして思うと、ちょっと乱暴だったかもしれない。 すっとマージされたかと思いきや、直後にリバートされた。

PHPのバグ修正の方法

この手の大規模なソフトウェアは開発環境を整えるだけで一苦労というイメージがあったけど、とても簡単だった。

git clone git@github.com:php/php-src.git
cd php-src
./buildconf
./configure
make

で、sapi/cli/phpに本体ができる。他のファイルを参考にして、tests/にテスト用のスクリプトを置くと、make testで実行される。

README.mdに書いてあるように、 https://bugs.php.net にチケットを作って、その番号を参照してプルリクを送れば良いらしい。

リバートについて

「だからPHPはダメなんだ」というような感じで叩かれているし、リバートされたときは「せっかくマージされたのにリバートするなよ……」と思ったけど、正しさよりもユーザーの利便性を優先しているからこそ、PHPはここまで流行っているのではないかと思う。 皮肉ではなく。 たとえ乱数の周期が2100になっていても困る人はいないけど、乱数の値が変わったら困る人ならいそう。

環境非依存の乱数

単に性能の良い乱数ならアルゴリズムの名前を付ける必要は無いので、各言語に実装されているメルセンヌ・ツイスタは言語が変わっても再現性のある乱数が得られるのが魅力だと思っていた。例えば、今回の修正が反映されれば、

<?php
mt_srand(12345678);
for ($i=0; $i<8; $i++)
    echo mt_rand().PHP_EOL;

#include <iostream>
#include <random>

int main()
{
    std::mt19937 rand(12345678);
    for (int i=0; i<8; i++)
        std::cout<<rand()/2<<std::endl;
}

はどちらも

527860569
1711027313
1280820687
688176834
770499160
412773096
813703253
898651287

という値を出力するようになる。C++は32bitで値を返すので、/2しているのがちょっと残念だけど。

他の言語はどうなのかと、Pythonを見てみると、genrand_int32()の値を直接取得するにはgetrandbits(32)という無理矢理感のある方法だし、init_genrand()を呼び出す手段は無いようだった。

言語間でも再現性のある乱数という需要はあまり無いのかもしれない。残念。

おまけ

私がバグチケットを作ったときに直前にあったバグが面白かった。

https://bugs.php.net/bug.php?id=71151

<?phpだけのファイルはHTMLからの脱出ができないらしい。「phpの後には空白文字が必要で、EOFは空白文字なのかという哲学的な問題だ」とRasmus氏がコメントしている。

追記

PHPでの、メルセンヌツイスタと今のmt_rand()と等価な処理の実装。乱数の値が一致する必要がある場合にはこれを使えば良さそう。

lt/PHP-MT19937: PHP implementations of MT19937, MT19937-64 and PHPs MT variant