犯罪収益移転防止法の本人確認

明日のコミケの東た26-bでこの本を頒布します。

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http://sanya.sweetduet.info/ksnctfc92/

支払い方法として、モナーコインも受け付けることにした。 他人から支払ってもらう前に自分で試したかったけど、モナーコインは1 MONAも持っていないので、bitbankで買おうとした。 土曜日にアカウントを作って本人確認書類として免許証の写真を送った。月曜日にbitbankから住所確認用の書類が発送されて、火曜日に簡易書留受け取り、特にメールなどは来なかったけど水曜日には入出金ができるようになっていた。 休日を除けば最短。速い。

余所でこのような本人確認をしたときには、届いた書類に書かれていたコードをサイト上で入力するとか、本人限定受取郵便で配達員に身分証明書を確認されるとかだった。 bitbankから届いた書類を見ると、「口座開設申込みありがとう。1営業日程度で口座を有効化するからちょっと待ってね」と書かれているだけ。 おや?と思ったけど、なるほど、簡易書留なら差出人は受け取られたことが分かるから、受け取るだけで充分なのか。

と納得しかけたものの、これだと私以外の誰かが私の免許証のコピーで口座開設を申し込んで、私が書類を受け取って放置していたら私名義の口座ができてしまう。 本人確認のために免許証のコピーを渡すのは良くあることなので、「信用できない相手に免許証のコピーを渡すな」と言われても無理がある。 「ハンコを押して受け取った書類を放置するな」と言われれば、まあ、それはそうなのだが……。 架空請求では、公的機関から届いた書類以外は全て無視して連絡はするな、と言われている。 どのような書類なら無視して、どのような書類なら対応するべきなのかというのが、なかなか難しい。

そもそも、本人確認をするメリットがbitbankには無い。 金を貸すわけではなく、預かる側なので、誰がアカウントを作っていようが金さえ振り込んでくれるなら構わないはず。 なぜ、本人確認をしているのかというと法律で決まっているから。

改正犯罪による収益の移転防止に関する法律が4月1日に施行され(たはずだけど反映されていない……)、特定事業者に仮想通貨交換業者が含められた。 第四条で、特定事業者は顧客の住所などを確認することが義務づけされている。 確認の方法が犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の第六条に定められていて、

ホ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号若しくは第四号に定めるもの又はその写しの送付を受けて(略)当該本人確認書類又はその写しに記載されている当該顧客等の住居に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

とのこと。 「取引関係文書」は上のほうに「預金通帳その他の当該顧客等との取引に係る文書(以下「取引関係文書」という。)」と書かれている。 預金通帳と並べられていることからして、それが無ければ取引ができないというレベルのものである必要がありそう。

ググっていたら、日本証券業協会Q&Aが出てきた。

55 「取引関係文書」の範囲

Q 施行規則第5条第1項第1号ロ等において規定されている「取引関係文書」には、例えば、口座開設のお礼状も含まれるのか。

A 口座開設のお礼状も「取引関係文書」に含まれる。

実はわりと何でも良いらしい。 協会が勝手にそんな判断もできないだろうから、お上に確認したんじゃなかろうか。

ということで、bitbankの方法でも問題は無いと。 bitbankのためでも顧客のためでもない法律なのだから、必要以上にbitbankが手間を掛ける義理は無い。 まあ、放置して勝手に口座を作られても、警察が家に来て「お前の口座で黒い金が動いていたぞ」と言われたときに「知らんがな」と言えば良いだけなので、特に不利益をこうむることも無いんじゃなかろうか。