「何回くらい回せば崩したことになるのかな?」とかが気になって、この記事を読んでいるなら、悪いことを言わないので、csTimerとかのスクランブル機能を使ってほしい。 この手のツールは、ルービックキューブの可能な配置43,252,003,274,489,856,000通りから等確率に配置を生成してくれる。 崩すという意味ではこれが正しいはず。
この記事での「崩す」の定義は、「6面全てに6色が現れるようにする」である。
元ネタはこの動画。
動画の概要。
- ルービックキューブを揃えられる人と、揃えられない人が対決したい
- 揃えられる人が揃える時間と、揃えられない人が崩す時間で比べよう
- 「崩す」とは「6面全てに6色が現れるようにする」ことである
- あれ、崩すの難しくない?
という流れ。 それで、どのくらい難しいのかが気になった。
難しさの評価というのも難しい。 揃えた状態というのは約4千京個の中に1個しかなく、ある意味で一番難しいが、揃えられる人にとっては簡単である。 とりあえず、キューブの全ての可能な配置の中に6面全てに6色が現れるものがどのくらいあるのかと、揃った状態から6面全てに6色が現れるようにするまでの最小手数を調べた。
使ったプログラムはここ。
6面全てが6色となる確率
厳密な値を得たいが、難しいので、キューブの配置をランダムに1億個生成して調べた。 他の場合も気になるから、色数が最小の面の色数と、色数が最大の面の色数別に集計した。 見方がちょっと難しいかもしれない。 min, max = 2, 3 のところに1と書いてあるのは、各面の色数が2色から3色までの配置は1億個中に1個しかなかったということ。
min\max | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | sum |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 13 | 0 | 13 |
2 | 0 | 1 | 1,357 | 78,059 | 106,067 | 185,484 | |
3 | 0 | 39,695 | 4,563,479 | 8,834,256 | 13,437,430 | ||
4 | 34,643 | 17,218,401 | 51,445,599 | 68,698,643 | |||
5 | 1,854,157 | 15,794,432 | 17,648,589 | ||||
6 | 29,841 | 29,841 | |||||
sum | 0 | 0 | 1 | 75,695 | 23,714,109 | 76,210,195 | 100,000,000 |
数字は同じだが1億で割ったパーセント表示のほうが分かりやすいかもしれない。
min\max | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | sum |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 0.000% | 0.000% | 0.000% | 0.000% | 0.000% | 0.000% | 0.000% |
2 | 0.000% | 0.000% | 0.001% | 0.078% | 0.106% | 0.185% | |
3 | 0.000% | 0.040% | 4.563% | 8.834% | 13.437% | ||
4 | 0.035% | 17.218% | 51.446% | 68.699% | |||
5 | 1.854% | 15.794% | 17.649% | ||||
6 | 0.030% | 0.030% | |||||
sum | 0.000% | 0.000% | 0.000% | 0.076% | 23.714% | 76.210% | 100.000% |
あるいは、逆数にして、何個中1個がそういう配置だったかというのもありか。
min\max | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | sum |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | - | - | - | - | 7692307.69 | - | 7692307.69 |
2 | - | 100000000.00 | 73691.97 | 1281.08 | 942.80 | 539.13 | |
3 | - | 2519.21 | 21.91 | 11.32 | 7.44 | ||
4 | 2886.59 | 5.81 | 1.94 | 1.46 | |||
5 | 53.93 | 6.33 | 5.67 | ||||
6 | 3351.09 | 3351.09 | |||||
sum | - | - | 100000000.00 | 1321.09 | 4.22 | 1.31 | 1.00 |
見るべきは、min, max = 6, 6 のところの値で、0.03%が6面全てに6色あるような配置だった。 約3,000個に1個。
ちなみに、ある配置から3手で得られる配置の個数は3,240個。 6面全てに6色があるような配置が、キューブの状態空間の中に均等に分布していると仮定するならば、3手程度でそういう配置が作れることになる。
約2個に1個は、最小の色数が4で最大の色数が6となる。 へー。
(不完全)1面が揃う確率は、0.000013%しかない。 何となくもう少し高いと思っていた。 でも、たしかに、スクランブルして不完全一面が揃っていた覚えはないな。
6面全てがn色の配置の作りかた
作り方を覚えておけば、動画のような勝負を挑まれたときに役に立つだろう。 そんな機会は無いと思うけど。
パターンキューブを使った作り方と、プログラムで探した最小手数での作り方を載せておく。
1色
これは普通に揃えれば良い。
2色
パターンキューブで各面が2色のものは多い。 チェッカーキューブやヘソキューブが簡単だろうか。
M2 S2 E2
M S M' S'
最小手数は2手。 なるほど、これで良いのか。
R2 U2
3色
私が思いついたのは、チェッカーキューブとヘソキューブの組み合わせ。 チェッカーキューブは対面の色で、ヘソキューブはあるコーナーを中心に回す感じなので、出てくる色が違う。
M2 S2 E2 M S M' S'
パターンキューブで「ケージ」というものがあった。 これ知らなかった。
L U F2 R L' U2 B' U D B2 L F B' R' L F' R
プログラムで探した最小手数は4手。
R U D' R'
4色
パターンキューブベースで作る方法は思いつかなかった。
ミニキューブインキューブ(↓)を3回行えば各面3個キューブの色が変わると思うかもしれないが、同じ色が出てきてしまう。 ミニキューブインキューブでは、対角線上の2個のコーナーが回転するものの、その回転の方向が逆なので。
NG例。
B2 R U2 R' U' R U' R' L' U2 L U L' U L B2 y B2 R U2 R' U' R U' R' L' U2 L U L' U L B2 y B2 R U2 R' U' R U' R' L' U2 L U L' U L B2
もちろんそういう配置が存在しないわけではなく、最小3手で作れる。
R U2 F
5色
スーパーフリップでOK。 ルービックキューブは最長でも20手で揃えられるが、20手掛かるパターンとして有名。 全てのエッジが反転していて、各面には4個のエッジがあるので、エッジ以外と合わせて5色。
B2 R U2 R' U' R U' R' L' U2 L U L' U L B2
最小4手で作ることもできる。
R U D R
6色
本題。
これもパターンキューブベースで作る方法は思いつかなかった。 スーパーフリップからセンターキューブを対面色と入れ替えられれば6色になるが、ヘソキューブと違って、センターを対面と入れ替えることはできない。
これが作れない。 パリティとかそういう話ではなく、キューブを分解しても作れない。コーナーの色の並びが逆だから。
例えば、黄色、緑、赤コーナーの色は、本来はこういう並び。
プログラムに探させた結果はこれ。6手。
R U R2 L2 U L
確率のところに書いた3手程度に比べるとだいぶ手数が多い。 まあ、揃った状態から作ろうとしているからかな。
これを覚えておけば、「揃えるのと崩すので勝負しよう」と言われたときに勝てる。